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Binary Blackhole リリースについて

本日、ちょっと謎の名前のプロジェクト「Binary Blackhole」(略称: BBH)の開発環境をリリースしました。

デモを見る

Binary Blackhole とは?

BBHは生成AIを活用し、任意の位置情報データベースと「自然言語でやり取りができる」ことを目指すプロジェクトです。現在は国土数値情報(一部)を取り込んでいます(jpksj-to-sqlで作成したデータを利用)。例えば「どのデータにアクセスできる?」と尋ねると、利用可能なデータの一覧を教えてくれます。

リリースの背景

数年前から「AI時代のGISとは何か?」という問いを追い続けてきました。そのビジョンがようやく形になり、今回初期デモを一般公開する運びとなりました。現時点ではまだ機能は限られていますが、これを土台に継続的な改良を重ねていく計画です。

今後の開発はオープンソースで、GitHub上で進めますので、ご興味のある方はぜひウォッチ・スター等でご参加ください。

現時点の機能と今後の展望

デモ版では「位置情報データを自然言語で検索し、必要な情報を取り出す」ことに挑戦しています。ただし、まだごく基本的なこと(例: 各種データの表示、線を引く、など)しか対応していません。GISエンジニアがQGISなどのツールを使えば、遥かに高度な分析ができるとは思いますが、BBHもそこに近づきたいと考えています。

たとえば空港同士の距離を求めるとき、AIは自分でデータを保持しているわけではなく、SQLクエリを生成して別のシステムで実行しています。次のフェーズでは、「AIが生成したクエリを介して取得したデータを、AI自身がさらに分析できる」ような仕組みを想定しています。

空港の距離

例えば、上記のスクショは「鹿児島県内の空港」の中心点から、それぞれつなげる線を引く、というものです。ただ、屋久島空港が無いことが確認できます。こちら、データベースを確認すると、「空港」内のテーブルの屋久島空港の行政区域コードは合併前の旧上屋久町のものになっていたため、JOINに該当しなかった。BBHの最終的なゴールは、このようなデバッグまで自分ででき、データの修正や課題出しができるようにするというのも入っていると思います。

BBHのコンセプト:データのネイティブな形式

BBHが重視しているのは「データをネイティブな形式で扱う」ことです。GISデータは多種多様な形式があり、それをめぐってしばしば議論が過熱します。しかし私は「GISデータも一般的なデータの一部にすぎない」と考えています。そして、最も汎用的かつ柔軟に扱える形式はSQLだろう、というのがBBHの立場です。

現在は PostgreSQL/PostGIS を利用していますが、将来的には「SQLを使えるあらゆるデータベース」に対応できるようになることを目指しています。特にデータレイクでよく使われている BigQuery や Athena / Presto を利用できるようにしていきたい。

今後に向けて

AI技術が発展することで、人間は本来取り組むべきクリエイティブな仕事や高度な問題解決に集中できるようになります。BBHを通じて、位置情報の世界でもこの未来を実現し、さらに加速させたいと考えています。

引き続き開発を進めていきますので、ぜひ興味を持っていただけた方はGitHubなどでご意見やコントリビュートをお寄せください。今後もアップデート情報をお楽しみに!